2026-03-12 13:48:13 日本ビジネス法講座
日本でビジネスを開始する際、会社設立の手続と並行して最も重要かつ難易度が高いのが、外国人経営者や従業員の就労ビザ(在留資格)の取得です。
特に、これまで比較的取得がしやすく頻繁に利用されていた、会社の代表として経営を行うための「経営・管理」ビザは、2025年10月に取得許可基準が劇的に厳格化されました。
1.主要な就労ビザの種類と特徴
外国企業が日本に進出する際、主に関係する在留資格は以下の3つです。
|
区分 |
在留資格の種類 |
対象者 |
主要な要件・特徴 |
|
経営者 |
経営・管理 |
代表者 役員、管理者 |
【2025年10月厳格化】 最もハードルが高いビザ。 資本金3,000万円以上、日本人等の雇用が必須。 経歴や日本語能力も審査対象。 |
|
転勤者 |
企業内転勤 |
本社社員等 |
外国の本店・支店に直近1年以上在籍していることが条件。 学歴要件は問われないが、給与水準は日本人と同等以上が必要。 ※実務上、代表者が取得するのは難しい場合がある。 |
|
従業員 |
技術・人文知識・国際業務 |
日本でローカル採用する従業員
|
一般的な就労ビザ。 大学卒業以上の学歴、または10年以上の実務経験が必要。 単純労働(工場作業、ウェイター等)は不可。 |
2.実務的観点:「経営・管理」ビザの許可基準の劇的な変化(2025年改正)
これまで、外国人が日本で起業する際に比較的多く取得されていた「経営・管理」ビザの許可基準が、2025年10月16日より大幅に引き上げられました。そのため、今後は、「経営・管理」ビザの取得を見据えて日本法人を設立する場合は、この新基準を満たす必要があります。
<新旧要件の比較>
|
項目 |
改正前(旧基準) |
改正後(新基準:2025.10〜) |
|
資本金 |
500万円以上 |
3000万円以上 (または出資総額3,000万円以上) |
|
従業員 |
不要(資本金500万円あれば免除) |
常勤職員 1名以上の雇用が必須 (日本人、永住者、定住者など) |
|
日本語 |
要件なし |
日本語能力 N2(B2)相当 (申請人または常勤職員のいずれかが保有) |
|
学歴(経歴) |
要件なし |
修士号(MBA等)又は実務経験3年以上 |
|
事業計画 |
任意の書式 |
公的専門家(中小企業診断士等)による確認が必須 |
3.他のアプローチ
実務的には、会社設立時の資本金3000万円の準備は設立者にとって非常に大きな障壁となります。そのため、経営・管理ビザ取得の代替方法として、以下のような他のアプローチを検討するケースが増えています。
(1)「企業内転勤」ビザの検討
外国の本社・支店に勤務している社員等を、日本法人に転勤させる場合は、要件の厳しい「経営・管理」ビザではなく、「企業内転勤」ビザで駐在を開始できる可能性があります。ただし、実務上、日本法人の代表者となる人がこの「企業内転勤」ビザを取得するのは難しい場合があります。また、転勤者は過去1年以上の海外本社での勤務実績が必須です。
(2)「高度専門職」ビザの利用
学歴、職歴、年収などでポイント計算を行い、70点以上であれば「高度専門職」ビザを取得できる可能性があります。この場合も会社の事業規模要件は問われますが、永住権取得までの期間短縮などの優遇措置があります。
4.結論
2025年の経営・管理ビザの許可基準の改正により、これまで一般化していた、「日本での経営・管理ビザ取得のためにとりあえず資本金500万円で会社を作る」という手法が通用しなくなりました。
今後は、経営・管理ビザの取得を見据える場合、「3000万円以上の資金調達」と「日本人スタッフの採用計画」を初期段階から確実に戦略に組み込む必要があります。
おわりに
日本ビジネス法講座では、今後も日本におけるビジネス進出・展開に役立つ情報を配信してまいります。
また、具体的な案件のご相談につきましては、弊事務所の相談メールまでお気軽にご連絡いただけますと幸いです。
AZ MORE国際法律事務所