中国法務
世界第2位のGDPを有する中国は、2016年におけるGDP成長率が+6.7%と、依然として高い経済水準率を保っています。中国には人口13億人を超える巨大消費市場があることに加え、国民の生活水準・生活環境の向上に伴い「中流層」と呼ばれる人々の数が急増し、「世界の工場」から「世界の市場」へと変化を遂げています。グローバル化の進展により以前にも増して日本と中国との距離は接近しており、もはやビジネスを行う上で中国との関係を切り離すことはできません。
一方、このような状況下においても、中国における経済活動に対する法規制は依然として激しく、頻繁に重要な法令の制定や改正が行われています。中国ビジネスを行う上で考慮すべき法的事項はより多様化・複雑化し、より専門性を有する知識と経験が必要とされています。
当事務所の所属弁護士は、中国現地において長期の勤務経験を有し、その豊富な経験に基づき、各分野における専門性を有する中国弁護士と提携することによって、中国ビジネスを行う上でクライアントにとって最適のリーガルサービスを提供しています。
日本企業による対中国投資(合弁交渉、会社設立、デューディリジェンス、企業再編、現地法人の管理など)
日系企業が対中国投資を行う際には、権利上の瑕疵や当局による権利制限など投資に伴う思わぬ法的なリスクが潜んでいることが少なくありません。このような投資リスクを回避するためには、中国の国レベル・各地方レベルの法規制、当局の対応、ビジネス慣行などの実務に対する理解が不可欠になります。
日系企業が対中国投資を行う際には、主な手法として①外商投資企業の設立、②出資持分譲渡、③増資、④資産譲渡、⑤合併、会社分割などがあり、投資対象となる企業の種類や投資手法などによって適用される法令は大きく異なります。企業買収が中国の独占禁止法における企業結合の申告基準に達する場合には、商務部への申告を要するなど、独占禁止法上の対応も必要になります。また、投資を実施する前には、投資対象となる企業の出資持分や資産に権利上の瑕疵がないか、企業経営に法的リスクがないか、買収を実行する上での法的な障害がないかなどの観点から対象会社に対してDD(デュー・ディリジェンス)を行う必要があります。
このように、対中国投資においては、関連する法令も複雑かつ多様で考慮すべき要素も多いことから、企業の実情や投資の容易さなど様々な要素を考慮の上、最適な投資スキームを策定し、事前調査により法的リスクを回避する必要があります。
当事務所の所属弁護士は、日系企業による対中国投資の経験を豊富に有し、各地域の各分野における専門性を有する中国弁護士と提携を行いながら、クライアントのニーズに応じた対中国投資の方針決定、DD(デューディリジェンス)、契約交渉及び作成、並びに監督官庁への照会・交渉、各種届出書類の作成など対中国投資を行う上で必要となる最適のリーガルサービスを提供しています。
中国現地法人の解散・撤退
中国現地法人の撤退にあたっては、①解散・清算、②出資持分譲渡、③規模縮小、④破産などの選択肢が考えられます。中国現地法人の解散・撤退を検討する際には、撤退対象である中国現地法人を取り巻く現状をきめ細かく検証し、撤退により達成しようとする目的を明確にしたうえで、最も相応しい撤退方式を選択することが望まれます。
中国現地法人の解散・清算手続においては、とりわけ、中国側パートナーとの交渉、従業員との労働関係の処理、当局(政府機関)との折衝、清算資金の確保などの点について留意が必要です。また、それまで現地法人の経営において表面化しなかった税務や労務などの問題が一気に顕在化する場合が多く、特に、近年、労働者の権利意識が強くなっていることから、現地法人を清算する場合に経済補償金の支払額など労働者との労務関係の処理が大きな問題となります。解散・撤退においては、事前に十分準備をし、従業員とのトラブルを最小限に抑える必要があり、また、大量の従業員との間の労働契約を終了する予定がある場合には、現地の労働行政管理部門に人員削減・調整について事前に相談し、協力を求める必要があります。
当事務所の所属弁護士は、中国現地法人の解散・撤退の経験を豊富に有しており、各地域の各分野における専門性を有する中国弁護士と適宜提携することによって、解散・撤退スキームの策定から、具体的な中国側パートナーとの交渉、従業員との交渉、当局との折衝などの撤退業務について総合的なリーガルサポートを提供しています。
中国現地法人における一般企業法務(コンプライアンス、商業賄賂、従業員による不正行為、独占禁止法、環境法、労働法関連)
中国では2012年に「反腐敗運動」がスタートし、多くの共産党党員や政府役員などが汚職により逮捕されました。この反腐敗運動の影響を受け、日本を含む外資系企業に対する商業賄賂の取締りも厳しくなっています。また、2008年の独占禁止法施行以降、カルテルや市場支配的地位の濫用行為への摘発も活発になっています。日系企業においても、中国現地法人における管理職や従業員による不正行為や不正会計を切っ掛けに、日本本社が経営危機に陥った事例が発生しています。このため、中国に子会社や関連会社を有する日本企業は、リスク回避のために、社内コンプライアンス制度の構築、贈収賄防止規程の作成、社内セミナー実施などによる内部統制システムやリスク管理体制などのコンプライアンス制度の構築・強化が求められています。
当事務所の所属弁護士は、中国現地企業に対するコンプライアンス制度の構築について経験を豊富に有しており、各地域の各分野における専門性を有する中国弁護士と適宜提携を行うことによって、中国に進出している日本企業に対して最適なリーガルサービスを提供いたします。
中国における知的財産権問題(侵害対応、紛争解決)
中国では WTO 加盟を契機に、知的財産権関係法令の整備が進められ、2008年には、国家戦略として国家知的財産保護戦略を実施することを決定するなど、国を挙げて知的財産権侵害に対して取り締る姿勢を強化しており、知的財産権の保護レベルは従来に比べて大幅に向上しているといえます。一方で、未だに多くの日本企業が中国における模倣品やコンテンツ侵害による被害を受けている現状があることから、中国における知的財産権の保護については、依然として積極的な対応が求められています。
弊事務所では、経験豊富な弁護士が、中国における知的財産権の権利登録、ライセンスサポートから、模倣品被害などの紛争が発生した場合の各種対応まで、中国の知的財産権に関する総合的なリーガルサービスを提供いたします。
知的財産権の権利登録
中国における自社の知的財産権侵害を防ぐためには、中国において権利登録を行うことが重要となります。商標、意匠権、特許権については、中国で権利登録を行わなければ中国内において一切保護されません。著作権についても、紛争に備えて登録を行うことが有用です。中国では、外国製品の商標の無断使用にとどまらず、他社の商標を先に中国で登録した後高値で買取りを要求するなどの行為が少なくありません。また、中国企業による知的財産権の出願件数が急増するのに伴って日系企業が中国企業の知的財産権侵害による訴えられる事案も増加しています。このため、中国にすでに進出している企業はもとより、将来的に中国関連のビジネスを検討している企業においては、中国で知的財産権の権利登録を行う必要性が高いといえます。
当事務所の所属弁護士は、知的財産権の権利登録(商標、著作権、意匠権、特許権)に関する経験を豊富に有しており、適宜、各分野における専門性を有する中国弁理士、中国弁護士と提携を行いつつ、クライアントのニーズに応じたサポートを提供いたします。
模倣品対策
中国における模倣品は、当局による取締りの強化にもかかわらず、未だ深刻な問題であり、近年は、高級ブランド品だけではなく、中小企業の商品の模倣品にまで被害が拡大し、模倣品が、中国国内のみならず、海外に輸出されるケースも少なくありません。模倣品が市場に出回ると、模倣業者に市場を奪われ、自社の真正品の売上に調節影響が及ぶほか、劣悪な模倣品の拡散により企業や製品のブランド価値が低下する、現地代理店との関係が悪化するなどのおそれがあります。
中国で模倣品が製造または販売されていることが発見された場合には、模倣品の製造または販売の証拠を収集することが重要です。模倣品が発見された場合には、主に、以下のような対策が考えられます。
- ①警告状の発布:弁護士名義で警告状を送付し、侵害行為の停止を要求
- ②行政摘発(レイド):工商行政管理局、質量検査局などの行政機関による行政摘発を要請し、行政機関による取締りを求めるもの
- ③刑事摘発:侵害行使が悪質である場合に、公安部門に働きかけ、刑事処分を求めるもの
- ④民事訴訟:民事訴訟を通じて、模倣業者に対して侵害行為の差止めや損害賠償金の支払いを求めるもの
- ⑤税関差止:水際対策として、模倣品の輸出の差止措置を税関に申請
- ⑥インターネット上の削除要請:インターネット上で模倣品が確認された場合に、各プラットフォームの管理者に対して削除要請を行うもの
当事務所の所属弁護士は、中国における知的財産保護に関する経験を豊富に有しており、現地調査会社や中国弁護士と適宜提携して、中国における模倣品情報の収集を行うとともに、各地の実情に応じて適切な模倣品対策についての戦略的なアプローチ方法を提案するとともに、上記の対策を含む総合的なリーガルサービスを提供しています。
日中間の取引(契約書作成、契約交渉、法務アドバイス)
日中間の取引においては、各々の国の法制度、商慣習や文化の違いを理解した上で、契約締結後の紛争を予防するという観点から、各種契約の特性に応じた取引関係書類を作成することが重要です。交渉に際しても、相手方の国情、習慣をよく理解したうえで臨む必要があります。
当事務所の所属弁護士は、日中間の取引について豊富な経験を有しており、専門性を有する中国弁護士と適宜提携を行いつつ、クライアントのニーズに応じた多言語(日本語・中国語・英語)による契約書の作成、リーガルチェック、契約交渉のアドバイスに至るまで日中間の取引について最適のリーガルサービスを提供します。
国際紛争解決(国際仲裁、訴訟、ADR)
中国企業との取引においてトラブルが発生し、交渉では解決できない場合には、中国国内において民事訴訟や仲裁といった方法により紛争を解決せざるを得ない場合もあります。このような紛争を適切に解決するためには、中国の司法制度に対する理解はもちろん紛争解決のためのノウハウが必要不可欠になります。
当事務所の所属弁護士は、国際仲裁、訴訟、ADRについて経験を豊富に有しており、各地域の専門性を有する中国弁護士と適宜提携をしつつ、クライアントの紛争解決にとって最適のリーガルサービスを提供します。
中国における債権回収
中国企業との取引において、中国企業からの債権回収が必要となる局面は少なくありません。債権回収の具体的な方法としては、督促状の送付、支払交渉、民事訴訟、仲裁、訴訟外の調停などの手段が考えられますが、債権回収の段階、債権者の資産状況、現地の実務などを総合的に考慮して、手段を決定する必要があります。
当事務所の所属弁護士は、中国における債権回収に関する経験を豊富に有しており、各地域の専門性を有する中国弁護士と適宜提携を行いつつ、クライアントのニーズに応じた債権回収に最適なリーガルサービスを提供します。
中国法令調査、翻訳(日本語・英語・中国語)
当事務所の所属弁護士は、中国法令について専門的な知識を有し、適宜、専門性を有する中国弁護士と提携を行いつつ、頻繁に法令の制定、改正が行われる中国法令の調査サービスを提供しています。また、中国法令、契約書などの法律文書の翻訳(日本語・中国語・英語)サービスを提供しており、中国法務に精通した日中の弁護士によるチェックを行うことで高い品質を保っています。