2026-11-04 20:12:41 日本ビジネス法講座
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【事例】 外国人労働者Xさんは、A国で生まれ育ち、日本の大学を卒業後、新卒で日本の大手企業Y社に入社しました。30年近く、注意や処分を一度も受けたことはなく、現在は幹部社員です。ある日、重役に呼び出され、部下へのセクハラ・パワハラの通報があったこと、調査が終わるまで謹慎とすることを告げられました。全く身に覚えがなく反論しようとしましたが、聞いてもらえず、1か月後に懲戒解雇を言い渡されました。 |
日本の労働法は、国籍に関係なく外国人社員にも日本人と同じように適用されます。今回は、ハラスメント通報をきっかけとする「謹慎」と「懲戒解雇」に絞って整理します。解雇された後の争い方や、ビザへの影響については「SERIES3-01」をご覧ください。
【先に結論:押さえておきたい4つのポイント】
①「通報があった」だけでは解雇できません。会社は事実をきちんと確かめる必要があります。
②言い分を聞かずに進めた調査には問題があります。
③調査のための謹慎中も、給料は原則として支払われます。
④長年処分歴がないのに、いきなり懲戒解雇を選ぶのは「重すぎる」と争う余地があります。
Q1. 謹慎している間、給料はもらえないのですか?
A1. 原則として、もらえます。調査のための謹慎(自宅待機)は、多くの場合、罰ではなく会社の都合による指示だからです。就業規則に別の定めがある場合は減額が認められることもありますが、それでも少なくとも平均賃金の6割は支払われるのが原則です。「謹慎」が懲戒処分なのか自宅待機の指示なのかを書面で確認し、給与明細も必ず確認しましょう。
Q2. 反論を聞いてもらえませんでした。問題ないのですか?
A2. 問題があります。国のガイドラインでは、会社がハラスメントを調査するとき、通報した人だけでなく通報された人からも話を聞き、双方の話が食い違う場合は周りの人からも話を聞くべきとされています。片方の話だけで事実を決めつけた調査は、裁判では信用されにくくなります。聞き取りの場では、自分の言い分を口頭だけでなく書面でも伝えておきましょう。
Q3. Xさんの懲戒解雇は有効なのですか?
A3. 有効性に大きな疑問があります。日本では解雇のハードルがとても高く、ハラスメントを理由とする懲戒解雇では、特に次の3点がポイントです。
本当にハラスメントがあったか(会社が証拠で証明できるか)
②解雇は重すぎないか(行為の内容、勤務実績、処分歴から見て、より軽い他の処分で足りないか)
③手続きは公正だったか(本人の言い分を聞いたか、就業規則の手続きを守ったか)
Xさんは言い分を聞いてもらえておらず(③)、30年間処分歴がないのにいきなり最も重い解雇を選ばれています(②)。ただし、行為の悪質さ次第で結論は変わるため、「必ず無効」とまではいえません。
Q4. 「懲戒解雇だから、予告手当も退職金も出ない」と言われました。
A4. そのまま受け入れる必要はありません。解雇予告手当を支払わずに即時解雇するには、労働基準監督署の認定が必要です。また、就業規則に「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」とあっても、裁判例では、長年の勤続の功績を消してしまうほどの重大な背信行為がある場合に限って全額不支給を認める傾向にあります。30年近く勤めたXさんにとって、退職金は大きな論点です。会社には解雇理由証明書を請求し、懲戒の理由を書面で特定させましょう。
おわりに
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AZ MORE国際法律事務所