2026-02-18 09:00:41 日本ビジネス法講座
1.会社設立の基本構成
日本で会社を設立するには、まず、会社の骨組みを決めなければなりません。以下の要素は、後の登記や運営に大きく関わります。
資本金額:会社法上は1円から設立可能ですが、当該会社の外国人経営者が「経営・管理」の在留資格を取得する場合は3000万円以上の出資、または2名以上のフルタイム職員の雇用が実質的な要件となります。(2025年10月に経営管理ビザの取得要件が厳格化されました。)
機関設計:取締役1名のみの最小構成も可能です。また会社がある程度規模が大きくなる場合には次の機関を設けることもあります。
・取締役会:3名以上の取締役が必要です。取引先からの信用度を高めたい場合に検討します。
・監査役:取締役会を設置する場合、原則として設置義務がありますが、非公開会社(株式譲渡制限会社)であれば設置しない選択も可能です。
2.商号(会社名)と目的の決定
・商号のルール:アルファベットも使用可能ですが、有名企業と誤認される名前や、公序良俗に反する名前は登記できません。また、同一住所に同一商号の会社がある場合は登記不可(実務上は稀ですが、バーチャルオフィス等では注意が必要)です。
・目的の決め方:「何をする会社か」を明確にします。将来行う可能性のある事業も含めて多めに記載するのが一般的ですが、許認可が必要な事業(中古品売買、旅行業、飲食等)を行う場合、その目的に特定の文言が入っていないと許可が下りないため、事前の確認が必須です。
3.外国人役員・外国企業が株主となる場合の必要書類
日本に住民票がない外国人や海外法人が設立に関わる場合、日本の「印鑑証明書」を取得できません。その代わりとして、本国で発行された「サイン証明書(署名証明書)」が必要となります。
ここで実務上、最も注意すべきなのが認証の範囲(アポスティーユや日本大使館の領事認証の要否)です。
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提出先 |
要求される認証のレベル(実務上の目安) |
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法務局(登記) |
原則として、本国の公証人や本国官憲の認証があれば受理されます。アポスティーユや日本大使館の領事認証まで求められることは稀です。 |
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銀行(口座開設) |
非常に厳格です。公証人の認証に加え、アポスティーユ(ハーグ条約加盟国)または日本大使館の領事認証(非加盟国)を必須とする銀行が大半です。 |
法務局が「不要」と言っていても、その後の銀行口座開設で必ずと言っていいほど「アポスティーユ」を求められます。二度手間を防ぐため、最初からアポスティーユ付のサイン証明書を取得するのが鉄則です。
4.資本金の払い込みとスケジュールの注意点
会社設立の手続きは、書類が揃ってから登記完了まで通常約2週間〜1ヶ月程度を要します。
・資本金の送金タイミング:登記申請前に行う必要があります。まだ「会社名義」の口座は存在しないため、発起人または代表者の「個人の日本の銀行口座」に振り込みます。
・海外からの送金:外国から直接送金する場合、着金までに数日〜1週間かかることがあります。また、銀行から資金源泉の確認が入ることもあるため、余裕を持ったスケジュール管理が必要です。
5.法人口座の開設
登記が終われば完了ではありません。現在、日本の銀行での法人口座開設は非常に厳格です。
・日本語担当者の必須性:多くの銀行では、代表者が外国人であっても、「日本国内に居住し、日本語で銀行と意思疎通ができる担当者」がいることを強く求められます。これがないと、審査の土俵にすら乗れないケースがあります。
・実態の証明:バーチャルオフィスの場合、審査が非常に厳しくなります。オフィスの賃貸借契約書や、事業計画書、ウェブサイトなどの準備が不可欠です。
6.外為法に基づく「事後報告・事前届出」
外国投資家が日本の会社を設立(株式を取得)する場合、外為法(外国為替及び外国貿易法)に基づき、日本銀行を経由して財務大臣等へ報告する必要があります。
・事前届出:武器製造、エネルギー、ソフトウェア(一部)など、「国家安全保障に関わる業種」に該当する場合は、会社を作る前に届出を行い、審査を待つ(原則30日)必要があります。これを知らずに設立すると法規制違反となるため、事前の業種チェックは必須です。
・事後届出:多くの業種では、設立後45日以内に報告すれば足ります。
おわりに
日本ビジネス法講座では、今後も日本におけるビジネス進出・展開に役立つ情報を配信してまいります。
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AZ MORE国際法律事務所