2026-07-07 12:36:26 日本ビジネス法講座
株式会社を設立した場合、日本の会社法の下では、会社は株主や株式をどのように取り扱わなければならないのでしょうか。株式を保有することにより、株主は、意思決定権、利益配当受領権、残余財産分配請求権という3つの基本的権利を有することを以前説明しました。(参照:SERIES 2-01: 株式会社の仕組みと法的ポイント)
株主がこれらの権利を実現したり、あるいは会社が株式を適切に管理したりするために、会社法では以下のような定めを置いています。
1.日本の株式会社における株式の種類
株式会社は、株主を、株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければなりません。その一方で、会社は、定款で定めることにより、配当、残余財産、議決権の制限、株式の譲渡制限などについて異なる内容の株式を発行することができます。それぞれの株式の特徴や、これらを発行する目的等を紹介します。
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株式 |
内容 |
発行目的 |
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優先株式 Preferred shares |
他の株式に先んじて剰余金の配当や残余財産の分配を受け取る権利がある株式です。 |
・投資家へのリターンを確保するために発行されることがあります。 ・創業者の議決権を確保するために、議決権のない優先株式を発行することがあります。 |
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劣後株式 Deferred shares |
他の株式に遅れてしか剰余金の配当や残余財産の分配を受け取れない株式です。 |
会社再建の際に会社と特別の関係がある者が引き受ける場合等に発行されます。 |
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議決権制限株式 Non-voting shares |
議決権を行使することができる事項に一定の制限がある株式です。株式会社では、議決権を行使することができる事項について、内容の異なる株式を発行することができます。たとえば、あらゆる事項について議決権が一切ない株式、一定の事項についてのみ議決権を有する株式といった株式を発行することができます。 |
・外部投資家に議決権を与えず資金調達したい場合に用いられることがあります。 |
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譲渡制限株式 Shares with Transfer Restrictions |
会社は、譲渡による株式の取得について、当該会社の承認を要する株式を発行することができます。また、そのような承認を要する旨を定款で定めた会社を株式譲渡制限会社といい、日本の多くの中小企業がこれに該当します。 |
株主構成を安定化させる目的で発行されます。 |
2.増資・新株発行の基本
会社が事業を進める中で、増資を行う必要が生じることがあります。新株を発行して増資を行う場合の基本的な手続きは次のとおりです。
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手続 |
説明 |
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株式を新たに発行する場合の手続 |
公開会社(=会社が発行する株式の全部または一部について、譲渡制限がない会社)では原則として取締役会の決議により新株の発行を行うことができます。 非公開会社(=会社が発行するすべての株式について譲渡制限がある会社)では、既存株主の持株比率を維持する権利を守るため、株主総会の3分の2の多数による決議が必要です。 |
3.外国投資家が株式を取得する際の注意点
日本の会社の株式を取得したとしても、その取得者は、自分が株主であるということを当該会社に対して直ちに主張できるわけではありません。株式取得者は、当該会社に対して、自己を株主として株主名簿に記載するよう求める必要があります。これには、当該株式が譲渡制限付か否かによって以下のような手続上の違いがあります。
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株式の種類 |
手続 |
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譲渡制限がない株式の場合 |
①株式取得 売買・贈与・相続などによって株式を取得します。 ②名義書換請求 取得した株式について、会社に対して、株主名簿を書き換えるよう譲渡人と譲受人が共同して請求します。 ③会社が株主名簿を書き換える |
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譲渡制限がある株式の場合 |
①②⇒上記同様 ③会社が承認 or 不承認を決定 会社は原則2週間以内に決定内容を通知する。通知がなければ承認されたものとみなされます。 ④会社が株主名簿を書き換える
● 不承認の場合 会社または会社が指定する者が株式を買い取る手続へ移行します。 |
また、日本の会社の株式を取得したとしても以下のような注意点があります。
4.まとめ
日本の会社法では、会社が必要に応じて様々な種類の株式を発行することが認められています。もっとも、日本の多くの中小企業は、既存株主の持株比率を保護し、株主構成を維持しようというインセンティブが強いため、譲渡制限株式を発行しています。これにより、新株の発行手続や株主名簿の書換手続等において、公開会社とは異なった規制がかかりますので注意が必要です。また、日本の会社の株主に関する情報は原則として非公開であるなど、日本における会社法上の特徴的な規制を理解しておくことが重要です。
おわりに
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